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マーケティング戦略を策定するための手順について

 マーケティング戦略を策定するための手順については、まず分析フェーズとして①環境分析②マーケティング課題の特定、次に立案フェーズとして③セグメンテーション、ターゲティング④ポジショニング⑤マーケティング・ミックス(4P)最後に展開フェーズとして⑥実行計画の策定という流れになっている。今回は、立案フェーズであるセグメンテーションとターゲティングについて説明する。

 セグメンテーションとは、マーケティング環境分析の結果を踏まえて、不特定多数の人々を同じニーズや性質を持つ固まり(セグメント)に分けることを指し、ターゲティングはどの顧客層(セグメント)を標的市場にするかを決めることである。

 セグメンテーションは、集中的な資源投入を可能にする点が利点であるものの、適切なセグメントに分ける切り口を見つけるのは困難である。代表的な変数としては、地方・気候・エリア特性といった「地理的変数」や、年齢・性別・家族構成・所得・職業といった「人口動態変数」、ライフスタイル・パーソナリティ・コアバリューといった「心理的変数」、ベネフィット・使用率といった「行動変数」などがあげられる。特に医療についていえば、年齢によってニーズが変わり、また性別も受療態度や行動が変わりうるなど人口動態変数は極めて重要な変数である。

 ターゲティングは、各セグメントの標準を定めることであるが、その手法は大きく3つある。一つは、市場全体あるいは最大のセグメントをターゲットにするマス・マーケティング手法で非差別化マーケティングといわれるもの。これは、コスト抑制というメリットはあるが、最大セグメントの平均化されたニーズしか満たせないことから、市場機会を逃す恐れがある。もう一つは、複数のセグメントにそれぞれ異なる製品を用意するフルライン戦略で差別化マーケティングという。これはトータルの売り上げが最大化できる一方、コストが増大する。最後が、あるセグメントに特化し、そこに全経営資源を集中して独自の地位を築く戦略で集中化マーケティングという手法である。これは、企業体力が小さく、差別化先着を取れない場合に用いられる。

 また、ターゲティングの判断基準は、6Rと自社の経営資源、環境要因などがある。6Rは、①有効な市場規模(Realistic Scale)②成長性(Rate of Growth)③競合状況(Rival)④顧客優先順位や波及効果(Ripple Effect)⑤到達可能性(Reach)⑥反応の測定可能性(Response)の6つである。①は市場規模は大きい方が良く、その市場において事業が成立するかという基準、②は将来市場が拡大するかという基準、③は競合を加味した上で収益性を担保できるかという基準、④は周囲への影響力の強いセグメントはどれかという基準、⑤はセグメントにアクセスする確実性はどれくらいかという基準、⑥はセグメント向けの施策効果は測定及び検証可能かという基準である。また、その他の自社の経営資源は自社の強みや弱みはどれくらいかという基準で、環境要因は法規制や社会団体などからの干渉がどんな状況かという基準である。

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