マグレガーは、権限を行使し、命令・統制によって組織を運営するような古典的な管理論をⅩ理論と呼び、それでは人を動かすことはできないと指摘した。そして、従業員が組織の繁栄のために努力することで、各自の欲求や目標も最高に成し遂げられるといった統合の仕組みで人を動かすことが肝要であるとし、そのような考え方をY理論と呼んだ。人が賃金や福利厚生などを求めて働きたいと願うときは、X理論においてうまく管理することもできる。しかし相応の生活水準に満たされてしまえば、人はより高い次元の欲求を求めるようになる。例えば、自分らしい働きをしたい、人から認められるような仕事をしたいといった欲求が生まれるようになると、もはやX理論では機能せず、Y理論が必要になる。Y理論を用いて、人が仕事を通してより高次の欲求を満たしていくことができるような仕組み(例えば、分権化や権限委譲の奨励、職務の拡大、職員の参加が可能な相談型のマネジメント、遂行能力の評価など)を整備することを、マグレガーは奨励している。