ブログ

同一年度に精算課税と暦年課税で贈与を受けるとどうなるか?その他注意すべき点について

同一年に暦年課税と精算課税を時期をずらして利用した場合

 相続税精算課税制度を選択すると暦年贈与には戻れないということは、ご存じの方が多いと思います。これを、同じ年に順番に利用することは可能なのでしょうかという質問を受けましたので、説明させていただきます。

 例えば、2月に110万円贈与されたものを暦年贈与とし、10月に2,500万円贈与されたものを相続時精算課税制度として、翌年の確定申告で税務署に申告するということは可能なのかという内容です。そして、この場合に、贈与税は発生しないのでしょうかという質問です。

 同一年に行われた場合、年度毎に判断されますので、年内の順番には影響を受けません。精算課税適用となります。冒頭の繰り返しになりますが、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、「暦年課税」へ変更することはできません。

 この例で説明しますと、両方の書類が整っている場合は、110万円の暦年贈与と2,500万円追加で暦年課税の修正申告、または、2,500万円の相続時精算課税と110万円追加の修正申告で20%の定率課税のいずれかになると考えられます。そもそも精算課税を選択しようとする方が、わざわざ高い贈与税を払うことになる前者を選択するわけはないでしょうから後者の選択になるでしょう。

 相続時精算課税を定めた相続税法21条の9では、第3項において次のように書かれています。
「3.前項の届出書に係る贈与をした者からの贈与により取得する財産については、当該届出書に係る年分以後、前節及びこの節の規定により、贈与税額を計算する。」

 つまり、届出書を出した「年分」以後はこの規定(相続時精算課税)で贈与税額を計算することになりますので、2月の分も含めて相続時精算課税での計算が必要になります。
この場合の贈与税は次のようになります。
{(2,500万円+110万円)-2,500万 }×20%=22万円

同一年に父親からの贈与を精算課税、母親からの贈与を暦年課税とした場合

 贈与税は、暦年課税贈与と相続時精算課税贈与の2種類の課税制度が用意されています。通常は暦年課税贈与を使いますが、税務署に一定書類を提出した場合には相続時精算課税贈与を選択することができます。相続時精算課税贈与を選択した場合には、相続時精算課税贈与により受けた贈与財産について、その選択をした年以後、相続時精算課税贈与に係る贈与者以外の者からの贈与財産と区分して、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額を申告する必要があります。

 ところで、この相続時精算課税贈与は「受贈者(子又は孫)が贈与者(父母又は祖父母)ごとに選択することができる」とされていることから、例えば父からの贈与については相続時精算課税贈与を選択し、母からの贈与は暦年課税贈与を使うということも可能となっています。では、もし同じ年に父から相続時精算課税贈与を受け、母から暦年課税贈与を受けていた場合に、暦年課税贈与の対象である母からの贈与額が基礎控除額110万円以下のときは、母からの贈与については申告する必要はないのでしょうか。

 これについては税法の規定より、父から贈与を受けた財産について相続時精算課税贈与の適用を受けることから、母からの贈与は暦年課税贈与の基礎控除額以下であっても、暦年課税贈与で取得した財産も含めについて申告する必要があるとされています。基礎控除額以下なので税額には影響しないことになりますが、忘れやすい部分になりますので注意が必要です。

暦年課税で複数の人から贈与を受けたとき

 暦年課税の場合、贈与税はその年の1月1日から12月31日までの1年間に、贈与により取得した財産の価額の合計額から基礎控除額の110万円を控除した残りの額に対して課税されます。この場合の基礎控除額は、贈与をした人ごとではなく、贈与を受けた人ごとに1年間で110万円となります。
 したがって、1年間に複数の人から贈与を受けた場合、その贈与を受けた財産の価額の合計額から控除できる基礎控除額は贈与者の人数に関わらず110万円となります。

(相法21の2、21の5、措法70の2の4) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4410.htm

 暦年課税と精算課税で混同しないようにしてください。

 一方、精算課税のほうは、贈与者ごとに2,500万円、例えば父親から2,500万円、母親から2,500万円、合計5,000万円非課税になりますが、相続時には課税されますので、ケースバイケースでの判断が必要です。

 日本では暦年課税の生前贈与加算を3年前までとしていますが、ドイツでは10年、フランスでは15年前まで遡って課税し、アメリカでは暦年課税の無税枠もないようですので、わが国においても将来的に、これが7年以内や10年以内の生前贈与は相続税に加算申告しなければならなくなる可能性もあります。

関連記事

  1. 白色申告と青色申告について 個人事業主の給与の考え方と専従者控除…
  2. 給与所得控除の改正について
  3. 損益通算について 不動産の売却益と事業所得の損失は損益通算できま…
  4. 遺留分侵害額請求権について(相続税申告後に金銭債務額が確定した場…
  5. 個人事業主が納める税金の勘定科目 事業主貸勘定 租税公課勘定
  6. 遺留分侵害額請求権について(申告期限までに金銭債務額が確定した場…
  7. 親が認知症の場合の生前贈与について
  8. 受取配当金益金不算入について 国税庁平成27年度税制改正 国税庁…
PAGE TOP