医療の場における人間関係には、①医療者対患者、②医療者対医療者、③患者対重要な他者、④医療者対重要な他者の4つのパターンがあります。医療者と患者の人間関係のコミュニケーションの阻害要因には、①役割の不確かさ、②責任をめぐる争い、③力の差、④意味合いの違いの4つがあります。今回は、力の差について説明していきたいと思います。
医療者と患者関係の力の差には、4つのパターンがあります。
①パターナリズム 医療者が大きな権限を持ち、患者の権限が弱いケースです。一昔前のいわゆる、患者は何も考えず、「先生お任せします」というおまかせ医療です。昭和の時代には多く見られていたと思います。高齢者の方の中には、まだまだ多いのではないでしょうか。
②相互主義 医療者と患者が同等に高い支配権を持った関係です。今後の医療者・患者関係のあり方として望ましい方向とされています。
③不履行 医療者の支配も患者の支配も弱く、機能不全に陥った最悪の状態です。
④消費者主義 患者が大きな支配権をもった関係です。最近は、インターネットの普及などにより簡単に医療の知識を身に着けることができるため、高い探求心をもった患者が事前に自分の病気などについて調べてきますので、医師もより慎重な発言が求められています。相互主義と同じく、今後の医療者・患者関係のあり方として望ましい方向とされています。いくら事前に調べたといっても、あくまでもインターネット上のものですし、浅い知識にすぎないと思いますので、患者さんが強くなりすぎるのも問題ではないでしょうか。医師が経験豊富な方なのか、医師になって数年しか経っていないのか(年数が経てばよいというものではありませんが)など相手の医師にもよってくると思います。