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消費税簡易課税制度の変遷と簡易課税制度選択届出書について

平成元年の消費税創設以来、消費税の簡易課税制度の適用ができる売上高の限度は当初の5億円から平成3年には4億円、平成6年には2億円と引き下げられ、それからしばらくの間その適用上限が続き、平成15年の税制改正で5,000万円に引き下げられ、現在に至っています。当時私が所属していた会社において平成13年頃、関連会社の中で売上が2億円以下の小ぶりな会社については、簡易課税制度を使っていたことが懐かしいです。そもそも簡易課税制度は本則による仕入控除税額の計算が負担となる中小事業者に配慮して設けられた制度です。しかしながら、実務の現場においては多くの事業者が本則による仕入控除税額と簡易課税制度を適用した場合の仕入控除税額を比較して有利な方法を採用しているのが現状です。

歴史的な流れは重要ですので、適用上限額と業種区分に関する税制改正の変遷をまとめておきます。平成元年4月から消費税は導入され、適用上限額は5億円と高く設定され、業種区分については第1種事業と第2種事業の2区分しかなく、適用する仕入率は2区分のうちいずれか多い業種の仕入率を統一して適用していました。現行制度のように今では当たり前のように区分毎に計算していますが、当初は個々の売上毎にみなし仕入率を適用していませんでした。平成3年度の税制改正で適用上限は4億円とわずかばかり引き下げられ、区分については4区分に細分化されました。この時点で業種別に売上を区分し平均みなし仕入率により計算することを原則としましたが、特定一事業又は二事業で75%以上を占める業種がある場合には、その業種の仕入率による特例計算が認められていました。

平成6年度の税制改正で適用上限2億円、区分については現行の5区分に分けられました。そして、それが約10年ほど続き、平成15年度の改正で適用上限が5,000万円となりました。これは、平成13年度の商法改正、これまた懐かしい金庫株の解禁に始まる企業組織再編税制が創設され、消費税についても合併や分割があった場合の納税義務免除の特例規定が改正されました。この時に消費税法施行令56条についても改正が行われ、相続や合併などによる事業承継の場合には、消費税法10条から12条までの納税義務免除の特例規定が適用されました。

この後、企業再編等については法人税を含む租税回避行為が問題となっていき、税法の網をかいくぐる企業と租税公平主義を守る国とのいたちごっこが続いていきました。私は、このいたちごっこの少し前に「わが国におけるM&Aについての一考察 ~商法・税法・会計からのアプローチ~」という論文を書き上げたことも今となっては懐かしい思い出であります。

話が少し逸れましたが、注意しなければならないことは、簡易課税制度選択届出書については、届出書の提出日の属する課税期間の翌期から効力が発生することとされていますので、忘れないように前期にしっかり届け出なければなりません。しかし、新規開業や新規設立、相続、合併、会社分割などによる事業承継については、例外的に届出書の提出日の属する課税期間からの適用を認められることとされています(消費税法37条1項消費税法施行令56条)。

それから、消費税の還付は簡易課税制度を選択している場合には受けられません。適用をやめようとする課税期間の初日の前日までに簡易課税制度選択不適用届出書を提出しなければなりません。国税庁HP

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