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受取配当金益金不算入について 国税庁平成27年度税制改正 国税庁注意喚起

京セラ稲盛会長の提唱したアメーバ経営が20年程前でしょうか、流行っていたと思います。盛和塾に入っている中小企業経営者の方も多かったのではないでしょうか。中小・中堅企業においても、分社化や関連会社を設立するなどして、部長クラスを関連会社の社長にしたり、新規事業会社の立ち上げにあたって関連会社の社長として異業種から社長をヘッドハンティングしたりという動きも多かったと思います。最近でも、関連各社の社長に責任をもって会社経営をやっていただき、しっかり利益を出している関連会社の社長や社員にはしっかりとした報酬や決算賞与などを支給するという経営をされているオーナー企業経営者様も数多くいらっしゃると思います。

子会社や関連会社が多額の利益を計上した場合には親会社に対して配当金を支払う場合もあります。いつもは親会社が十分利益を計上し、子会社は親会社ほど利益を計上していないので配当金を支払っていない。しかし、今期は親会社の業績が不振で、子会社のほうが利益を多く計上したため、親会社の財務諸表の見た目をよくするという観点から、多額の配当を実施した。このようなケースでは、税理士事務所が見落とす場合があります。税理士先生が直接対応していれば見落とすこともないでしょうが、事務員に任せてしまっているケースなどは注意が必要です。

なぜ親会社に対する子会社からの受取配当金が益金に算入されないのかと言うと、配当金は税引後当期純利益から支払われているからです。つまり、配当金は子会社の税金を引かれた後の利益の中から親会社に支払われ、親会社がその受け取った配当金に対してもさらに課税されてしまうと同一の利益から法人税が二回も課税されてしまうという二重課税の問題が発生してしまいます。これについては経営者の方は「二重課税、もっともだ」とすぐに理解されることと思います。次に、益金不参入という表現が分かりにくいと思いますので、簡単に説明させていただきますと、会計上の利益と税務上の利益の違いから生じるもので、別表四という税務上の利益を計算する附表のなかで会計上の利益が加減算され利益調整されます。益金は税金計算上の利益、損金は税金計算上の費用と考えておけば分かりやすいと思います。要するに益金不算入とは税金を計算する上で利益に算入しませんよということであり、別表四で会計上の税引後当期純利益(受取配当金の利益が入っている)から控除しますよということです。

この受取配当等の益金不算入制度は、平成27年税制改正で見直されています。国税庁 平成27年度税制改正

受取配当に関して国税庁から注意喚起が出ています。非支配目的株式等であるにもかかわらず、その他株式等に記入して計算しているケースが見受けられるというものです。本来であれば、非支配目的株式として受取配当の20%しか益金不算入できないにもかかわらず、その他株式として50%の益金不算入としているというものです。  国税庁 受取配当に関する注意喚起

「完全子法人株式等」「関連法人株式等」「その他株式等」「非支配目的株式等」の4つの区分を誤ることは、税金計算の誤りに直結しますので注意が必要です。

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