企業会計原則の設定について
(昭和24年7月9日)
(経済安定本部企業会計制度対策調査会中間報告)
一 目的
我が国の企業会計制度は、欧米のそれに比較して改善の余地が多く、且つ、甚だしく不統一であるため、企業の財政状態並びに経営成績を正確に把握することが困難な実状にある。我が国企業の健全な進歩発達のためにも、社会全体の利益のためにも、その弊害は速やかに改められなければならない。
又、我が国経済再建上当面の課題である外貨の導入、企業の合理化、課税の公正化、証券投資の民主化、産業金融の適正化等の合理的な解決のためにも、企業会計制度の改善統一は緊急を要する問題である。
従って、企業会計の基準を確立し、維持するため、先ず企業会計原則を設定して、我が国国民経済の民主的で健全な発達のための科学的基礎を与えようとするものである。
二 会計原則
1 企業会計原則は、企業会計の実務の中に慣習として発達したもののなかから、一般に公正と認められたところを要約したものであって、必ずしも法令によって強制されないでも、すべての企業がその会計を処理するのに当たって従わなければならない基準である。
2 企業会計原則は、公認会計士が、公認会計士法及び証券取引法に基づき財務諸表の監査をなす場合において従わなければならない基準となる。
3 企業会計原則は、将来において、商法、税法、物価統制令等の企業会計に関係ある諸法令が制定改廃される場合において尊重されなければならないものである。