バリュー・イノベーションとは、企業と顧客の両方に対する価値を向上させることであり、ブルー・オーシャン戦略の土台となるものです。常識となっている要素を削ぎ落し、過去に類を見ないような価値を提供する戦略です。
ブルー・オーシャン戦略では、競争のない市場を対象とし、競争を無意味にするため、新しい需要を開拓し、価値を高めながらコストを押し下げ、差別化と低コスト化の両方を進める戦略をとることができます。値下げと価値の向上は一見すると正反対な戦略で不可能ではないかと考えられがちですが、市場や商品性を検討することで同時に実現可能となってきます。レッド・オーシャンの中ではできることではありませんが、ブルー・オーシャンの中では可能です。ブルー・オーシャンの中であぐらをかき、コストを下げず売価も下げないということを続けていくと、その企業や商品はやがて市場から見放されることになるでしょう。
自社とライバルの戦略を比較すると、同じポイントに力を入れていることが多々あります。製品の高機能化が市場成長に効果があると判断されると、全社が一斉に機能の開発合戦を始めて競争が激化し、レッドオーシャン化が進みます。そこで視点を変えて、ライバルたちが力を注いでいるポイントにはあまり力を入れず、その分のコストを抑え、他社が重視していない部分に力を入れることで、競争を避ける手段をとります。これがバリューイノベーションです。このバリュー・イノベーションを実現するには、次の4つのアクションを検討することになります。
➀Eliminate(取り除く)
➁Reduce(減らす)
➂Raise(増やす)
➃Create(付け加える)
4つの頭文字から「ERRC」と呼ばれる手法です。
ブルー・オーシャン戦略を検討するのであれば、既存の製品に対してのERRCを適用することで、見たこともない製品の可能性が生まれてくるのです。
重要なのは低コスト化だけでも、差別化だけでも不足であるということです。片方だけなら、どの企業も簡単に実現可能なのです。そう簡単にはクリアーできない、困難なその両方を同時に実現すること大きな意義があり、それを実現することで、新しい市場が生まれてくるのです。そして、他企業が追随してくる当分の間この市場がブルー・オーシャン市場となるのです。