参考にしていただければと存じます。
新入職員の皆様へ:医療安全3カ条
第1条:組織で醸成している安全文化
安全文化というのは突然生まれるものではなく、実用的で地に足がついた対策を一貫して継続することにより時間をかけて形成されるものです。当院では次の4つの文化を醸成・定着させようとしています。
1.報告する文化 潜在的な危険に直接触れる現場が、自らすすんで報告しようとする組織文化
2.正義の文化 安全に関する正しい知識や情報をもとに許容できる行動とできない行動の境界を
明確に理解し行動できる文化
3.柔軟な文化 急変時など状況に応じて、指揮命令系統が明確な階層型組織と迅速に対応ができ
るフラット型組織に組織が柔軟に再構成される文化
4.学習する文化 正しい情報から結論を導き出す意思と能力、大きな改革を実施する意思をもつ文化
このような安全文化を醸成・定着させるためには個々の医療スタッフが、医療安全を自身のこととしてとらえ意識を高めていただかなければなりません。当院では、誰の責任なのかを追及するのではなく、失敗が発生した要因を解析し、みんなで改善を図っていくという「学習する文化」こそが、大切であると考えています。
第2条:医療安全に関する報告制度の整備 -事故を未然に防ぐダブルチェックとハインリヒの法則-
ダブルチェックで防ごうとしているものは、何でしょうか?もちろんそれは重大な事故です。万が一にも起こしてはならない事故を起こさないために、ダブルチェックを防止策として活用しているわけです。 皆さんもご存知の通り、事故についての経験則として「ハインリヒの法則」と呼ばれる法則があります。 1件の重大な事故の影には、実は29件の軽微な事故があり、29件の軽微な事故の影には、300件のヒヤリハットがあるという法則です。この法則は、医療・看護だけでなく、製造業や建設業など、事故が直接人命に関わるところでは経験則として認知されています。この法則とダブルチェックを活用することで、重大な事故を防ぐことを目的としているのです。
医療安全推進のためには、これらの異常について情報を収集し、リスクを抽出することが望ましいという観点から、当院においても報告制度を構築しています。これらの報告は、当院の医療安全管理部門で集積した情報をもとに、患者の身体に与える影響の程度によりレベル分類・分析され、医療安全推進委員会で検討されます。当院では報告制度を推進するため、報告者の匿名性の確保、報告者の保護、医療スタッフへのフィードバック、報告を容易にするシステムを導入していますのでご協力をお願いいたします。
第3条:組織横断的で全員参加の医療安全管理活動の実施
医療安全の取り組みは、患者さんが最善の医療を受ける権利の保護であり、最善の医療を提供するという医療関係職の基本的な姿です。トップマネジメントを担う組織の責任者及び看護管理者は、患者さんの安全を守るため、リーダーシップを発揮し、医療安全管理部門と連携して医療安全管理活動に取り組んでいます。それと同時に臨床の最前線にいる医師や看護師をはじめとする医療関係職が安全に業務を行うことができるよう当法人では組織全体で横断的に取り組んでいます。日々の業務の中で、事故防止に恒常的に努め、患者・家族、地域医療連携室、地域包括支援センターなども含めて全員参加で医療安全管理活動を推進しています。全員でやっていくという気持ちをもって医療安全を進めていきましょう。