バランスト・スコアカードとは、ビジョンと戦略を常に意識しながら、品質や効率など業績的な側面のバランス、財務指標と非財務指標のバランス、ステークホルダー間のバランスなどを考えながら、戦略を成功させるための戦略的経営システムである。
米国でキャプランとノートンの両氏によって業績評価システムとして開発され、その後経営の場で、フレームワークに用いられるようになっている。
戦略とは目標とするビジョンとその組織の現状とのギャップを埋めるための道筋を示すロジックである。バランスト・スコアカードでは、戦略を市場や環境の変化に合わせて柔軟に適合させるための経営フレームワークとみなし、戦略の指標を財務的業績だけでなく、顧客満足度、業務プロセス、従業員の学習と成長といった非財務的業績指標を併用することによって、組織の活動が適正であるかどうかを判断できるようにしたところが特徴である。
バランスト・スコアカードでは、財務、顧客、業務、学習と成長の視点の戦略をつなげる縦の因果連鎖を策定するが、これを戦略マップと呼ぶ。そしてそれぞれの視点の戦略に関し、戦略目標、重要成功要因、重要業績評価指標、目標値といった横の目的手段関係によって戦略を表現する。重要成功要因(CFS;Chief Factor for Success)は戦略目標を達成するための重要要因であり、重要業績評価指標(KPI;Key Performance Index)は、その指標となるものである。
バランスト・スコアカードを用いることで、長期的観点から経営資源を有効に配分する計画としての戦略というロジックを示し、このロジックに沿って組織がとるべき行動の意味を組織メンバーに説明し周知することが可能になる。バランスト・スコアカードは、命令するための従来のマネジメントシステムではなく、トップから最前線までの組織メンバーが戦略のロジックについて語るための共通言語を提供するツールになりえるものである。