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因果関係の意思決定で考慮しなければならないこと

PC(probability of causation 原因確率)[1]でいうところのmore likely than not[2] という線引きであったり、細菌学や科学分野のようなミクロレベルでの因果関係を追究していくことは十分考慮しなければならない。細菌学の分野で将来的にがんの原因を突き止めるなど遺伝子研究を継続していくことなどは必要だが、ミクロレベルの因果関係を疫学的な判断には使用してはならないと考える。原子力発電所の事故等による放射線被についてはMore likely than notという線引きによりPCが50%未満の被爆者は切り捨てられる可能性があり、[3]近年では福島原発事故でも問題となっている。歴史的に振り返ると、コッホの三原則、要素還元主義的な考え方に支配されていたわが国における水俣病の被害が拡大したようなことが起こってしまうからである。

[1]PC(probability of causation 原因確率)とは、ある要因が疾病発生に貢献した割合のことである。曝露群の罹患率I1、非曝露群の罹患率をI0とすればPC=(I1-I0)/I1である。 馬場園明 医学概論テキスト

[2]浜島信之 疫学と民事裁判 日本公衛誌 1991;38:541-545

[3]医学における因果関係の推論-意思決定- 津田敏秀、馬場園明、茂見潤、大津忠弘、三野善央 産衛誌2001;43:161-173

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