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事業承継について 従業員承継は増加しています

一般的に事業承継と言いますと、子供や孫、親族などに継承することが多かったのですが、近年、従業員への承継の数が増えてきています。

事業承継は承継先によって分類できます。具体的には、子供などへの親族内承継と今回取り上げる従業員承継、M&Aによる他企業に対する承継の3種類があります。この中で、最もメジャーなのは親族内承継ですが、これは減少傾向にあり、私が銀行に入行した1992年頃には80%を超えていましたが、2018年では44%程度、さらに2020年には34%程度にまで下落してきております。

一方、親族内承継に対して、従業員への承継は増加傾向にあります。

1992年頃には4%程度にすぎませんでしたが、2012年頃には20%程度にまで増えていますし、さらに2020年には34%程度まで急増し、親族内承継に追いついてきております。

実際にクライアント様やその経営者仲間の方などからもよくお聞きしますが、ご子息・ご息女が事業を継がない、あるいは元々自分がしてきた苦労を子供にさせたくないから違う道に進ませるといったケースは多いです。

そのような結果として、親族間の事業承継が減少し、長年勤務してきていることから、事業のことをよくわかっている従業員の方へ事業承継するといったケースが増えてきているのだと思います。

このように、従業員承継は、近年非常に注目されており、利用頻度も上がっている事業承継の方法です。

従業員承継のメリット

それでは、従業員承継は、どうしてこのように多くの企業で選択されて実行されているのでしょうか?そのメリットを確認していきましょう。

【 広い範囲から後継者を選ぶことができる 】

まずは、広い範囲から後継者を選べることが挙げられます。

事業承継と言えば、従来は子供や兄弟などの親族が主な後継者候補でしたが、それに限ると、どうしても選択範囲が狭くなります。子供や親族が「継ぎたくない」と言ったら、無理矢理継がせることはできませんし、子供がいても、経営者としての資質がないこともあります。

これに対し、従業員承継であれば、数多くの役員や従業員の中から有能で経営に適した人物を選ぶことができますし、素質のある人を教育し、優れた指導者として育てることも可能です。

【 会社のことをよく知った人に承継してもらえる 】

従業員や役員は、もともと企業に勤務していた人や社長の右腕だった人等なわけですから、企業のことをよく知っています。業界の常識や会社内の慣習なども把握しているので、経営者としての教育をするときにも「一から教える」必要がありません。

もし、親族内承継で、会社のことを何も知らない子供に承継させようとすると、「この会社の仕事は何か」というところから教えないといけないのですが、従業員承継の場合には、そのような手間はかかりません。

【 企業文化を維持できる 】

中小企業では、自社独自の企業文化を大切にしているところが多いです。上場しても「創業理念」を大事にしている会社がたくさんあることからもわかります。ただ、経営者が交代すると、どうしても元々の経営者の経営理念や企業文化の色は薄くなってしまいがちです。

特に第三者承継でM&Aを利用した場合などには、新しい会社の色が上書きされてしまい、元々の会社の社風は失われてしまうことが多いです。

従業員や役員が承継する場合、もともとその会社の社風に染まった人が経営者になるわけですから、企業文化が失われる可能性は極めて低いです。経営者としては、できれば自分で育てた会社には、そのままの文化を保ってほしいでしょうから、このことは、大きなメリットです。

【 他の従業員や取引先の理解を得やすい 】

事業承継をすると、経営者が代わるので、他の従業員や取引先などに受け入れてもらう必要があります。従業員が反発すると、会社の運営が円滑にできなくなりますし、取引先の不信を買ったら取引を停止されて支障が発生します。経営者が代わったことを金融機関に不審に思われて借り入れができなくなったら、資金繰りが悪化してしまうおそれもあります。

この点、それまで社内の従業員や役員だったものが会社を継ぐのは自然な流れなので、周囲に受け入れてもらいやすく、事業承継をスムーズに進めやすいメリットがあります。

このように、従業員承継には、多くのメリットがあるため、近年利用件数が急増しているのです。

しかしながら、従業員承継はメリットばかりではありません。当然のことながらデメリットもあります。

当事務所では、「 従業員承継について ~役員・社員への事業引継ぎのメリットと障壁~ 」という小冊子を作成いたしました。お申し出いただければ、無料にてお渡しいたしております。

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