変革型リーダーシップという概念を提唱したのは政治学者であるBurns(1978)で、ガンジーやジョン・F・ケネディといった政治リーダーの行動を研究する中で、リーダーシップを「交換型リーダーシップ(transactional leadership)」と「変革型リーダーシップ(transforming leadership)」とに区分しました。交換型リーダーシップは、これまでのリーダーシップ論の枠組みとほぼ同様で、Burnsの研究する政治リーダーでは、投票や選挙運動への協力の対価として、何らかの報酬を与えることによって影響力を行使することを言います。
つまり、リーダーとフォロワーの関係は明確であり、リーダーは影響力行使のためにフォロワーが何を望んでいて、フォローワーが提供するサービスに対して果たすべき役割を明確にする必要があるということです。
これに対し、変革型リーダーシップはフォロワーに対し、フォロワーの潜在的な欲求を発見し、より高度な欲求を満足させるためフォロワーの全人格と関わりを持ちます。この変革型リーダーシップが組織に好ましい結果をもたらす優れたリーダーシップであるとしています。
その後、Bassが交換型リーダーシップと変革型リーダーシップは相対立するものではなく、フォロワーの努力を引き出すために並存しているとしました。変革型リーダーシップの3要因としてカリスマ、個別的な配慮、知的な刺激をあげ、交換型リーダーシップの2要因として随伴的報酬、例外管理をあげています。[1][2]
[1]東俊之 変革型リーダーシップの問題点 京都マネジメントレビュー第8号 2005年
[2]馬場園明 医療オーガナイズ論テキスト2018 変革型リーダーシップ 52頁